――2011年の重要なテーマは「スマートフォン」ですが、それ以外に注目のトピックスというのはありますでしょうか
辻村氏1つは「通信モジュール」ですね
2011年はさまざまなデジタル機器にモジュールが内蔵されていく年になるでしょう
例えば、デジタルカメラやクルマなどへのモジュール内蔵は注目ですね――なるほど
すでにドコモの通信モジュールは、日産自動車の電気自動車「リーフ」に採用されるなどクルマ市場でも広がっています
このあたりは注目といえそうです辻村氏通信モジュールの広がりは、さまざまな形があるでしょうね
一般的なコンシューマー向けのデジタル機器などはもちろん、例えばエアコンの監視・制御用などで白物家電に導入されるといったことも十分に考えられます
いろいろなところで、モバイル通信モジュールを活用したIT化というものが広がっていくでしょう――家電の監視ですと、ユーザーが直接的に利用するような用途の他に、例えば安全性の問題からリコールが必要になった製品を効率的に見つける、といった使い方も考えられそうです
ただ、こういった通信モジュールの広がりには2つ必要な要素があります
1つが「通信モジュールが安くなること」、そしてもう1つが「モジュールを組み込んだ製品に合わせて、柔軟な料金体系が作れるか」です辻村氏それはおっしゃるとおりですね
通信モジュールのビジネスを本格化するには、その2つが重要になりますまず料金体系の点ですが、例えばエアコンなど家電に組み込んだ場合は日々のトラフィックはたいして発生しません
通信速度もいらない
こういった用途にあわせて料金プランを開発していく必要があります
またモジュールそのものの価格についてですが、ここは「どれだけの需要を作れるか」が鍵になります
モジュールはとにかく数(が価格に反映されるわけ)ですから
ここはデジタルカメラやポータブルゲーム機のようなものが“通信内蔵”を前提にしたものになれば、解決する部分です――今の時代ですと、デジカメもポータブルゲーム機も「ネットにつながる」ことがユーザーとメーカー両方のベネフィットになることは間違いありません
ですから、逆説的に言えば、“市場を作り、モジュール需要を拡大する”ための前提条件は、やはり通信料金の部分でしょう
AmazonのKindleもそうですが、料金体系を柔軟に設計できるかが、全体の需要喚起の鍵になります辻村氏それは理解しています
これまでの基本料金+利用料という料金体系は、携帯電話など人が日常的に使う通信機器であることを前提に考えられています
しかし、M2M(Machine to Machine)市場の場合では使用環境・使用条件がまったく違いますからね
モジュールが利用される製品や市場に合わせて、これまでと違う料金体系を柔軟に作っていく必要があるでしょうねあと、もう1点、通信モジュールの普及に欠かせない要素として「組み込み型SIM」もあると考えています
これは先般GSMAで発表しましたが、SIMカードは最初からモジュールに組み込まれていて、オンラインで契約と番号の書き込みができるというものですむろん、この組み込み型SIMはセキュリティがきちんと担保されていなければなりません
しかし、これが実現すると、例えばコンシューマー向けのデジタル端末や家電でのモジュールの運用がしやすくなる
ドコモとして、この組み込み型SIMの実現にも注力しています
新春インタビュー:スマートフォンによりインターネットはモバイル化する――NTTドコモ 辻村副社長に聞く(後編) (1/2) - ITmedia +D モバイル