キリンビールは、2011年1月19日に首都圏のコンビニ限定で新発売したアルコール飲料「夜カフェ」の商品コンセプトをイメージした番組「究極の!おうちで夜カフェつくろう会議」を2010年12月から Ustream で提供している。今回キリンから発売された「夜カフェ」は、"ゆっくりと夜長を楽しむお酒"をコンセプトにした紅茶味、カフェラテ味の低アルコール飲料。都内のカフェから放送されるこの番組では、この商品のイメージである「おうちでゆっくりとお酒を楽しむ」というコンセプトのもと、毎回様々な分野で活躍するアーティストを招き、トークセッションやアーティストのパフォーマンス、こだわりのインテリアグッズの紹介などを展開している。ホストは、女優・ファッションモデルの上原歩さんと、カフェオーナーの家入一真氏がつとめる。
1月12日に開催された第3回の「究極の!おうちで夜カフェつくろう会議」では、2003年に『麦ふみクーツェ』で坪田譲治文学賞を受賞した作家の、いしいしんじ氏が登場した。いしい氏は「いしいしんじのその場小説」と題して、会場で白紙の状態から小説を書き下ろし、その場で作品を読み上げていくという試みに挑戦。小説の生まれる現場を Ustream 視聴者に向けてライブ中継した。いしい氏によれば、3年ほど前から様々な形でこのような即興の作法に挑戦しているという。
右から、いしいしんじ氏、上原歩さん、家入一真氏
机に座り、持参した鉛筆を削り、白紙の原稿用紙に静かに書き始めた、いしいしんじ氏。そして、手元のマイクでゆっくりと一言ずつ、その原稿に書いた言葉を声に出し始めた。その進行は私たちが普通に小説を読むスピードとは明らかに違う。しかし、聴いているとその小説の世界観が頭に浮かんでくるのが不思議だ。
小説を書きながら、その原稿を読み上げる いしいしんじ氏
印刷された文字を読むのではなく、いしい氏がその場で生み出した言葉を聴くことで成立する小説。次の展開が全く読めない緊張感が、会場のゲストと Ustream の視聴者を引き込み、いしい氏が次にどんなストーリーを語るのかという一点に集中する。会場は手元のお酒を忘れる程静まり返り、物語の進行に注目する Ustreamのコメントも視聴者の投稿が一時的に減るほどだった。
Ustream の様子。Twitter ユーザーからのコメントが多数寄せられた。
約40分間の静寂で生まれた「物語」が終わりを迎えたとき、会場のゲストからは大きな拍手が起き、Twitter では「書きながら話すなんて驚きだ」「原稿用紙が見てみたい」など、その作法に感嘆するようなツイートが多く見られた。いしい氏が創作するアナログな芸術・エンターテインメントである「小説」の奥深さを「夜カフェ」というリラックスした空間で「Ustream」というデジタルエンターテインメントを通じて再発見するという斬新なユーザー体験に、共感した視聴者も多かったようだ。
いしい氏が放送中に書き上げた原稿
第4回目の「究極の!おうちで夜カフェつくろう会議」は、「夜カフェ」の新商品発売開始を記念して、1月19日21:00から、放送される。ゲストには、人気クラブ DJ の大沢伸一氏、「AneCan」の人気モデル熊澤枝里子さんを迎え、「旅・カフェ・音楽」をテーマに夜カフェ談義を楽しむ予定だという。また、キリンのウェブサイト「夜Cafe.jp」では、今回「いしいしんじのその場小説」が行われた第3回までの放送内容をアーカイブ配信しているほか、「おうちで夜カフェ」に合わせてチョイスされた「究極の夜カフェ・インテリア」2品から好きなほうを選んで Twitter からツイートすると多数意見を選んだ人の中から抽選で1名にそのインテリアグッズをプレゼントするという「毎週当たる!おうちで夜カフェ・合わせてほぼ100万円分プレゼント」キャンペーンも展開している。
「夜Cafe.jp」のウェブサイト。過去の番組映像も視聴できる。
キリンビール、「おうちで夜カフェ」をイメージしたトーク番組を Ustream で提供 - japan.internet.com