欲しい ほしい ホシイ

欲しい ほしい ホシイ」小霜和也(2010)

感情とは、命令のこと
…でないと、貴様は死んでしまうのだ!と 

情報が、情報を意味付けする…
広告のストーリーはこういう考えでできています…
人間は、情報を個別ではなく他のものと組み合わせながら、その意味を解釈するのです

人間の脳は、常にラクをしたがる…
脳は拙速を貴ぶもの

…実際のものとは異なる
…でもかまわない
…それが彼らにとっての真実であればよい、ということです

脳は、ない情報を勝手に補完する

商品の上に座らないでください

選択的注視
選択的無視

ヒトは自分に関わりのあるものに注意を向けます

登場人物たちの意識が常に商品に向いていること

…商品情報なしでもストーリーが成立しているようなら、そのCMは商品を認知させる力が弱い

Beauty(美女やイケメン)…
Baby(子供)…
Beast(動物)…いい感じのものと商品をつなげさせようとするやり方…
ただし…商品への意識向け(ビールジョッキを突き出す、手でクルマを指し示す、など)をしなければ
選択的無視が起きてしまいます

ヒトの感覚は自分に近いものほど敏感です…
目の前にいる人物の微妙な表情の違いは感じ取れても、100人の群衆と101人の群衆の違いはわかりません

ヒトには、欠けているものが気になるという性質もあります
この好例が、利休の欠け灯篭と呼ばれる名物です

素直がいちばん…
うんこくさくないダイヤモンドと言っても、うんこの臭いが残りますよね!

女性向けなら情報はできるだけ多く見せる

Just me!

当事者か…第三者か

ヒトは何かを見る時に、それをただの物体ではなく表象として見てしまう…
表象とは…自分との関わり合いを含んだビジュアルのこと

ロゴは、ターゲットとの関連性を貯める容器

記憶とはヒトの意思で自由にできるものではない

記憶に残すか残さないかは感情が決める

全人類に共通する感情…ヒューマン・ユニバーサルズ(ポール・エクマン)
幸福感、驚き、恐れ、悲しみ、怒り、嫌悪

広告表現はなんらかの感情を伴わなければいけない

幸福感と驚き
広告が存在を許されているのは観る者をいい気持ちにしてくれるから

幸福は人生が突然好転した時にわれわれが体験する感情のことである(デズモンド・モリス、裸のサルの幸福論)
幸福感とはその一瞬の点であり、持続せずにすぐ冷めてしまうもの、ということ

自分の人生が好転しそうだと感じられるもの
が、記憶に残りやすいはず

好転感は強い幸福感につながる

競争
達成
協力
リズム
快楽…そのために食品や飲料の広告で重要なのはストーリーよりもむしろシズルカットだ
知識

意外(笑)

例外的な表現を見せてあげればいい
ホワイト家族で…お父さんが犬
25年後の磯野家で…カツオたちが大人

新しい広告表現をスタートする時…表現自体が新発売である必要がある

笑いとは、なーんだ、ネコじゃんです
…警報解除メッセージ…なのです

ヒトは物事を特徴で認識し
その特徴を肥大化させることで記憶に定着させる

特徴がないと覚えてもらえません

漫画「NANA」…「あたしはいまもキラキラしたものを見ると蓮のことを思い出す」

何物にも人間の根っこをねじ曲げる力などありません…
加速したり、流れに乗ったり、広げたりができるだけです

無意識に作用すると言っても、嫌いなものをいつの間にか好きにするような魔術や秘薬ではない…
人は楽しい、気持ちいい体験をすると、それを記憶に残し、またやりたくなります
ブランディングとは、そういう心の動きを後押しするものである

それから…えー…なんだっけ?

買ってから決める…
ヒトは…行動してから決める

意識や意思とは無意識へのラベル貼りである…
脳はざっくりコンピュータなので

広告の役割
無意識の情動に訴えかけ買いたいドーパミンを分泌させるもの
買わない方がいいという意識の拒否権を押さえ込むもの

お店に入る前に買うべき商品を決めている計画購買の割合は約11%に過ぎない

人は感覚で買い、理屈で納得する(ジョセフ・シュガーマン)

ブランド戦略に置き換えると
生活者の無意識にじゅうぶん刷り込まれているトップブランドは、さらに無意識への刷り込みを続ければよし…
弱いブランドは…意識の拒否権を発動させる…差別化ポイントを理性的に訴求していくべし

カップヌードルはカップヌードル=いい感じというイメージだけ与え続ければOKで
他のヌードルは…低カロリー…無香料など、理性に訴えかけるやり方で戦うのがいい

あなたが買うから私も買う

ワインの飲み比べをすると、高い値付けのものほど美味に感じる…
ヒトには矛盾を嫌う本能がある

あなたが楽しいから私も楽しい

CM中では使用者の表情がとても大事

広告で最強のコピーはいまも昔も
新発売である

商品から新しい刺激を感じる広告が真にいい広告

決まりごとがくっついている方が、やってみたくなる

ジンクピリチオン
思うに、ヒトは、謎めいたものに執着する習性があるような気がします

神秘的な信じるポイントを持っているもの
は執着を生み出します

神秘というのは神様がヒミツにしているという意味にもなります…
自分たちが住む世界の外側に…恐れと興味を抱き続ける本能があるのでしょう

商品というモノは捨てられても…自分が解明できていない神秘性は捨てられない
そういう構図

宗教は…何かを明らかにする一方で、何かの謎を深めます
その謎が執着心につながる

ストーリーも重要…
商品は、無理にでも苦労して(?)、世の中に出してください

商品を信じること

その確信が受け手に
非言語の言葉として伝わっていく

レトリックとは.zipファイルのこと
レトリックとは様々な意味をひとつにまとめて伝える技法である

レトリックとは、脳の負担を減らすための手法

ひと手間の言葉
レトリックは話者と聞き手の共同作業である

レトリックは理解度の負荷が上がると意味が伝わりにくくなる

共通認識…文脈

返報性
ヒトは毛づくろいのお返しの代替行為として言葉を利用していたのではないか

話せば仲間

人々の会話の9割以上が単なるおしゃべり、それも噂話である(ロビン・ダンバー)
噂話は人間にとってどういう意味があるかというと連帯意識の確認なんですね

ツイッター…
ちょっとした情報をやり取りすることで、ギブ・アンド・テイクの関係をつくっている

人間が言葉を使う時…背後の動機に仲間意識を確認したいという欲求があるのでは

コピーの大きな役割は
企業と生活者の仲間意識を生み出すことである

ヒトはズルに非常に敏感にできています
広告とは自分はズルじゃないアピールをしながらターゲットを動かすもの

意識とは無意識へのラベル貼りである
言葉とは、ずばりそのラベルのこと 

ヒトはその感覚的限界のために、物事を何かに置き換えて思考します…
何かに置き換えて思考することをメタファーと呼びます

ビジュアルやサウンドにはできない、コピーならではの機能…それは
未来への約束

狩猟採集生活というのは、その日暮らし…
未来という概念を持ち始めたのは…農業を始めた頃からのようです

農業とは…バクテリアが生物を腐らせ、土壌を肥やすサイクルを人工的に速めるもの…
これを営むためには将来の予測を立てないといけません

ビジュアルは約束しないもの
言葉は約束するもの

広告コピーの真骨頂は、やはり
生活者に対して未来への約束をすることだろうと僕は考えています

フランス革命が生んだもの
近代民主主義
民主主義は、国民の意思によって国の運営がなされる政治形態ですが、逆に統治者の側から見ると
常に国民の欲求を知っておく必要がある…仕組み

モノ…コト
21世紀のいま…求められているのは、モノではなく、モノによる自己実現 

マーケティングとは
顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、
顧客がその商品を効果的に得られるようにする行動(Wikipedia)

これはつまり…ほしいものを教えてくださいと聞いてから作ったほうが間違いないじゃない、という話
ちゃっかり近道しちゃおうぜということ

縁日に行ったら、バナナのたたき売りをやっていた…
そのたたき売りの隣で…こちらは1本増量でしかも1割引という札を掲げた…
いつしか芸を見せる売り子は淘汰され、
むっつりした露天ばかりになり、その縁日自体、行く人はいなくなっていった

ただターゲットに合わせる、すり寄るマーケティングはたいして価値がない

かつて、企業は商品文化のリーダーでした
そのリーダーシップを生活者からもう一度取り戻す気概が必要だと感じます

人間は社会的動物であり…リーダーになるか、リーダーに従うか、が心の安定を生み出すのであって…
政治家であっても企業であっても…導く者のファンになります

殺伐…殺し合い経済
マーケティング…を恋愛へ 

生命とは自己増殖するデジタル情報メディアである

コミュニケーション活動とは遺伝子を残す活動の相似形である 

ヒトは本能的にコピーがしたい!

3拍子、4拍子などというのは…区切りを明確にすることで
正確に…覚えやすく…伝わりやすくした

遺伝子をくっつける
製品とは物体そのものを指しますが…文化遺伝子がくっついて商品になります

強い文化遺伝子の条件(リチャード・ドーキンス)
忠実度
多産性
長寿

伝えやすく
拡がりやすく
飽きられにくい

広告とは…文化遺伝子増殖のサポートをする仕事

広告とは製品に文化遺伝子をくっつけて商品にするメソッド

ソーシャルメディアが台頭し…企業のコミュニケーション活動に必要なのは対話力である、などと言われてますが…
対話力というのは、企業と生活者のポジションの話であって…
大切なのは、このような場で企業が文化遺伝子をどう発信していくか、生活者とどう伝え合うか、ということです

マーケティングというものの真髄…生活者の心を読み解きながら、製品に新しい価値を付加することです…
そこを見失ってしまうと…ただの御用聞き、ご機嫌伺いに堕してしまいます

愛の本質
サルの赤ちゃんは、母親のぬくもりそれ自体を報酬と感じる(ハリー・ハーロー) 

動物はミルクを与えるものを母と思うという理性信奉学者たちの説を…批判
施設が育てればOK、という理性的考え方はヒトとしては誤った考え方です

つまりはバランス
…ただ売りっぱなしではなく、ブランディングや、顧客との絆を大事に考えている企業はしっかり成長しています
大切なのはウレルとウケルのバランスです

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欲しい ほしい ホシイ── ヒトの本能から広告を読み解くと
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5 本能から世界を読み解く。
5 まず人を、さらにヒトを知ることから。