インターネットでどんなサイトを閲覧したかがすべて記録される
初めて訪れたサイトなのに「あなたにはこんな商品がおすすめ」と宣伝される――
そんなことを可能にする技術の利用に、総務省がゴーサインを出した
ネット接続業者(プロバイダー)側で、情報を丸ごと読み取る技術を広告に使う手法だ
だが、個人の行動記録が丸裸にされて本人の思わぬ形で流出してしまう危険もある
業者は今後、流出を防ぐ指針作りに入るこの技術は「ディープ・パケット・インスペクション(DPI)」
プロバイダーのコンピューター(サーバー)に専用の機械を接続し、利用者がサーバーとの間でやりとりする情報を読み取る
どんなサイトを閲覧し、何を買ったか、どんな言葉で検索をかけたかといった情報を分析し、利用者の趣味や志向に応じた広告を配信するDPIの導入を検討している大手プロバイダー、NECビッグローブの飯塚久夫社長は「個人の特定につながらないよう、集めた情報はいつまでも保存せず、一定期間が過ぎたら捨てる
(プライバシーの侵害目的だと)誤解されたら全部アウト
業界で自主規制が必要だ」と話す一方、新潟大の鈴木正朝教授(情報法)は「DPIは平たく言えば盗聴器。大手の業者には総務省の目が届いても、無数にある小規模業者の監視は難しい
利用者が他人に知られたくない情報が勝手に読み取られ、転売されるかもしれない
業者がうそをつくことを前提にした制度設計が必要だ」と話す作業部会に参加した一人は「総務省の事務方は積極的だったが、参加者の間では慎重論がかなり強かった
ただ、『利用者の合意があれば良いのでは』という意見に反対する法的根拠が見つからなかった」と話している
(小宮山亮磨)
asahi.com(朝日新聞社):「ネット全履歴もとに広告」総務省容認 課題は流出対策 - ビジネス・経済 (1/2ページ)