河合:私は不安やストレスは、「人生の雨」だと言っています
だれでも不安がなければいい、ストレスがなければいいと考えますね
いつも、すっきり晴れていたらいいのにと思います不安やストレスは、「人生の雨」〔PHOTO〕gettyimagesでも、雨がずっと降らないで晴れが続くと、私たちは何をするかというと、雨よ降れ降れと雨乞いをするわけですよ
草木は枯れちゃうし、渇水がおこるし
人間もまったく一緒で、毎日ストレスがまったくなくて、平和な日々が続き、今日何しようかな?という状況で暮らしても、3週間くらいは楽しいかもしれませんが、たいていの人はひと月も経つと、何か起きないかなと思うのです
それは、刺激を求めているからなんです
人間も雨が降らないとカラカラに乾いちゃう内藤:なるほど、人間は何もないと、適度な刺激を欲するんですね
河合:だけども、雨が降ってきたときに傘をささないでいると、風邪をひいてしまいます
それとまったく一緒で、ストレスの雨が降ってきたときに傘をささないと、心が風邪をひいてしまう
だから、傘をさせばいいんです内藤:その傘とは何ですか?
河合:たとえばその傘とは、
「頼れる人がいる」
「楽観的に考える」
「いろいろな知識を習得して物事の見方を変える」というような、いくつもの傘を持っておけば、どんなにストレスの雨が降ってこようと、乗り越えることができるんです
内藤:どんな雨でも必ずやむものですからね
河合:リーマンショックがおこったときは、この先どうなっちゃうんだろうと思っていたのに、今は結局なんとかなっています
今回の震災も楽観的なことはいえませんが、少しずつ、陽差しが見えてくると思うのです内藤:永遠にいまの状態が続くわけではないですからね
河合:そこに行き着くまでにストレスにやられてしまって、身も心もぽっきり折れてしまわないように、傘をたくさん持って、ときには傘をさしかえていけば、晴れたときには草木は一気に成長しますから、そうやって人間も成長していくものなんです
内藤:自分を守る傘のようなものを、何本か持っていることが大事なんですね
河合:いくつか持っている人が「ストレスに強い人」なんです
たとえば水の問題でいうと、放射能のことで不安になったとします
自分は大丈夫だけど、子どもはまだ1歳なったか、ならないかだったとしたら、母親はものすごく不安になると思うんです
そんなときに、多くの傘を持っている人と、持っていない人は、ストレスが違ってきますたとえば、電話1本で相談できる人がいるとか、または地方に水を買って送ってくれる人がいるとか、ネット上で信用性が高い水を販売する業者を知っているとか、子どもを預かってもらえる安全な場所があるとか
そういう傘で、ストレスの雨にびしょぬれにならないように工夫するんです
その傘を持つことができなかったり、傘をつくることが下手だったりする人は、パニックになり、これも食べさせちゃいけない、どこにも預けられないと雨のなか、おろおろしてしまう
食、水、健康・・・「放射能のストレス」とどうつきあえばいいのか|食の安全|現代ビジネス