英語で論文を書かなくてはならない研究者（たまごを含む）のために、英語論文の表現例文集がたくさん出版されている というのも、論文には、その構成にも言い回しにも〈定形〉がある 自分の頭で一からひねり出すよりも、おきまりのパターンを活用した方がはやく良い結果を得られる普段、論文を書いていない、というか今まで書いたことがない人は、論文の書き方についてストックがないのだから、例文集から「借文」した方が効率的である
本当は論文を書くのに先立って、他人の書いた論文をある程度読めば、そうしたパターンは自然に頭に入ってくるものである しかし「あるべき論」だけでは地球は回っていかない
誰もが夏休みの宿題を７月中に終わらせる訳ではないのだ以下、「借文」できるよう、論文に使われる表現・例文を集めてみた
あまりボリュームがあっても使いにくいだろうから、数は絞りに絞ってあるより多くの表現が必要な人は、冒頭に触れたように英語論文の例文集が出ているから、それを参考にすることができる
たとえば、
間違いだらけの英語科学論文 (ブルーバックス)
(2004/07/21)
原田 豊太郎
英語論文によく使う表現
(1991/07)
崎村 耕二
英語論文に使う表現文例集
(1996/10)
迫村 純男、ジェイムズ レイサイド 他書く人のために索引なども完備しているから、日本語の論文にも役に立つだろう
・この論文の目的は＿＿＿である・この論文で示したいことは＿＿＿である・本論は＿＿＿するために書かれたものである・私が主張したい点は＿＿＿である・ここでの目的は＿＿＿をさらに探ることである
１.序論
(a)論文の目的
・この論文のテーマは＿＿＿である(b)扱わない事項を除く
・＿＿＿を探究するのは、この論文の課題ではない・＿＿＿を論じることは、別に機会に譲らなくてはならない・＿＿＿については議論の枠から外す
・＿＿＿の問題については、本論では取り扱わない２．先行研究
・＿＿＿を明らかにするために多くの研究がなされてきた・＿＿＿を示すために数多くの試みがなされてきた・ここ数年＿＿＿についての研究が行われてきた・＿＿＿の研究は多くの議論が呼び起こしてきた・＿＿＿の問題が、近年＿＿＿たちによって注目されている・＿＿＿によって＿＿＿の研究は重大な進歩をとげた・＿＿＿の考えは、＿＿＿によってさらに進められた・＿＿＿の問題を取り上げたのは＿＿＿である
(a)研究の紹介
・＿＿＿については多くの研究がなされてきた(b)（この論文のテーマについて）先行研究は不十分
・＿＿＿を試みた研究はほとんどない
・＿＿＿についてはわずかな研究しか行われていない
わずかに＿＿＿だけが＿＿＿について論じている・＿＿＿についてはこれまで無視されてきた・＿＿＿に注目する研究はほとんど行われて来なかった・＿＿＿について多くの研究が行われてきたが、＿＿＿については未だ未解決である・＿＿＿について多くの努力がそそがてきたが、＿＿＿については明らかになっていない(c)先行研究を評価する
・＿＿＿に発表された最近の論文で＿＿＿についての新しい分析を提示している・＿＿＿の議論がこの分野に新しい観点を提示した・＿＿＿の研究によって、近年＿＿＿についての関心が高まっている
・＿＿＿は、この課題について新たな試みを行った３．本文
Ａ.導入
(a)問題を提示する
・問題は＿＿＿である・このことは＿＿＿という問題に我々を導く・＿＿＿については明らかではない・＿＿＿の点について明らかにしなければならない・＿＿＿を調べてみる必要がある・私たちは＿＿＿という問題に直面している・＿＿＿については疑問の余地はないが、＿＿＿についてはかなり疑わしい・はっきりさせておくべき点がもう一つある
それは＿＿＿である・＿＿＿を解決した後、残る問題は＿＿＿である(b)論じる立場の提示
・＿＿＿を考慮した上で＿＿＿を検討しよう・＿＿＿を＿＿＿の点から考察したい・＿＿＿を議論するのに＿＿＿というアプローチをとる
・＿＿＿という観点から考察する(c)定義する
・＿＿＿という言葉を＿＿＿を示すために用いる・＿＿＿という言葉を＿＿＿という意味で使おう・＿＿＿は、＿＿＿という概念を含む・＿＿＿は、＿＿＿から＿＿＿にわたる意味を持っている
・＿＿＿を＿＿＿と定義しよう・＿＿＿の主張については疑問の余地がある・必ずしも＿＿＿であるとは言えない
Ｂ.否定的主張
(a)疑わしい
・＿＿＿については疑問がある(b)否定
・＿＿＿は全くの誤謬である・＿＿＿と仮定することはできない・＿＿＿というだけの理由で＿＿＿とは断定することはできない・＿＿＿は＿＿＿をまったく説明していない・＿＿＿という中心的な問題に触れていない・＿＿＿は多くの側面を無視している
・＿＿＿と考えるのは間違いである
例えば＿＿＿……（c）反論
・＿＿＿に対して反対の立場を取りたい・＿＿＿の結果は、＿＿＿の主張と反対である・＿＿＿という主張には根拠がない・＿＿＿という主張は、＿＿＿の点から間違いである・＿＿＿という主張は、＿＿＿であることを説明していない
・＿＿＿については、次のような反論が考えられる
Ｃ肯定的主張(a)推測できる
・＿＿＿と考えることが可能である・＿＿＿である可能性がある・＿＿＿と仮定すれば＿＿＿である・＿＿＿は妥当であるように思われる・＿＿＿と断定することはできないが＿＿＿であることは十分考えられる
・＿＿＿であると言ってもいいだろう・＿＿＿は＿＿＿＿であることを裏付けている・＿＿＿という議論に矛盾はない・＿＿＿はこの議論の正しさを裏付けている・＿＿＿という主張は全く正当である・＿＿＿であることは自明である・＿＿＿であることは十分考えられる
(b)妥当である
・＿＿＿＿という主張は妥当である(c）確実である
・＿＿＿ということは用意に理解できる・＿＿＿については疑いない・＿＿＿からすぐにわかるように＿＿＿である・確かなのは＿＿＿ということである
・＿＿＿は明らかである（d）証拠がある
・＿＿＿は＿＿＿であることの証拠として役立つ・＿＿＿の直接的な証拠はないが、しかし＿＿＿がそのことを間接的に示す
・＿＿＿を示すよい証拠がある
Ｄその他(a)例を挙げる
・＿＿＿は一例を提供してくれる・簡単な例をあげるならば＿＿＿・＿＿＿のために例を引こう・＿＿＿からの実例は有益だと思われる・多くの例は＿＿＿に該当する・＿＿＿以上にこれを示すよい例は他にない
・例えば＿＿＿である(b)注意を促す
・ここで注意すべきことは＿＿＿である・＿＿＿について注意深く検討すべきである・＿＿＿を見過ごすべきではない・＿＿＿であることは注目に値する
・＿＿＿に注意すべきである(c)引用する
・＿＿＿から一節を引用する・＿＿＿は次のように言っている・この点について、＿＿＿は次のように論じている・＿＿＿と指摘した後で次のように続けている
・これは＿＿＿の引用である・今までの議論で＿＿＿であることがわかった・＿＿＿と要約されるだろう
４．結論
(a)要約すると
・手短にいえば＿＿＿
・以上が＿＿＿の要点である(b)帰結する
・＿＿＿であることが明らかになった・＿＿＿と言ってもいいだろう・＿＿＿とみなすことができる
・＿＿＿ということが言える(c)結論をいう
・＿＿＿という結論に達した・＿＿＿ということが明らかになった・結論として言えることは＿＿＿＿である
・＿＿＿と結論すべきである
卒論に今から使える論文表現例文集（日本語版） 読書猿Classic: between / beyond readers
