「たまご焼きを輸出せよ」~中小企業の挑戦 @NHK_PR

首都圏ネットワーク

4月10日放送
“たまご焼き”を海外に売り込め

NHK千葉 加藤 陽平 写真
NHK千葉
加藤 陽平

たまご焼きは、日本食の代表の一つとも言っていい料理ですが、この日本の味を海外に売り込んでいる企業が、千葉県にあります

原発事故の影響や円高など、日本からの食品輸出には逆境のなかで、挑戦を続けています

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ことし2月、タイの首都バンコクにある、大規模なショッピングセンターで、日本食の試食販売会が開かれました

販売されたのは、たまご焼きでした

食べたタイの人たちにも「おいしい」とか「甘すぎなくていい」と好評でした

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たまご焼きを作ったのは、千葉県君津市の従業員およそ50人の企業です

卵の生産量が、全国2位の千葉県の中でも、特に生産が盛んな君津市という立地を生かし、新鮮な卵を安く仕入れています

千葉県や東京を中心に、売り上げを確保していますが、今、事業の柱にしようと取り組んでいるのが、海外での販売です

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3年前に社長に就任した井木永悟さん
積極的な海外進出を目指すのは、日本の人口減少で、国内市場が小さくなっていくことに、危機感を抱いているからです

「このまま日本にいても、尻すぼみになるだけで、かなり危機感を感じていまして、それで、海外にたまご焼きを輸出しようと」

井木社長は着想をこのように話しています

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しかし、海外への卵焼きの輸出には課題がありました

たまご焼きを輸出するために冷凍すると、固くなり、味が落ちてしまうのです

そこで工夫したのが、卵に混ぜるデンプンです

特別な配合のデンプンを、ある割合で混ぜることで、冷凍しても味が落ちないたまご焼きを作ることができました

井木社長が指摘するポイントは「デンプンの量が多くても、少なくても、おいしい冷凍の卵焼きはできない
解凍した時に、水分をなるべく出さないようにする」ということでした

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井木社長自ら海外に売り込みに歩き、これまでに香港やシンガポールなど4つの国と地域に、販路を拡大してきました

さらに海外との取り引きを増やそうとしていたさなか、福島の原発事故が起きました

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千葉県産の食品の多くは、海外で輸入を規制されるようになりました

この会社のたまご焼きも、一時は輸出がゼロになりました

井木社長は、それでも海外進出を諦めませんでした

「一番やっちゃいけないことは、立ち止まってぼーっとすることなんです
状況がよくなってから『さあ動こう』というのでは遅い」と言います

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井木社長は、海外の見本市に積極的に参加することで広げた人脈を生かし、タイで試食販売を行うチャンスを得ました

本格的な日本の味はタイの人たちにも好評で、用意した1000個のたまご焼きは売り切れました

ショッピングセンターの食品部門の責任者も継続的な取り引きを希望しました

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この責任者は「予想以上の売り上げです
この商品を売り出していきます
消費者も買ってくれると思う」と話しています

井木社長は「自然な笑顔が出てきたことと、お客様の生の声を聞いたところから、これは皆さんの口に合うなと感じることができました」と手ごたえを感じたようです

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タイでは、現在も、千葉県産の食品は放射性物質の検査をしなければ、輸入が認められません

長引く原発事故の影響、さらに円高と、厳しい状況は続くものの、井木社長は、行動することで状況は変えられると信じています

井木永悟社長は「規制が解けるのを待っていたり、円安になるのを待っていたりしても、何も今のままから進歩がないですから
今やっていることが、将来のステップになればいい」と覚悟のほどを語っています


この試食販売会をきっかけに、タイでの契約がまとまり、今後は現地の日本食レストランにも売り込むために、社員が再びタイに渡って、交渉する予定だということです

取材したNHK千葉放送局の加藤陽平記者によりますと、井木社長は将来、東南アジアの国に生産拠点を構えて、海外での販売を事業の柱の一つにしたいと、話しているということです

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