イノベーションのジレンマ

「イノベーションのジレンマ」クレイトン・クリステンセン(2001)

新技術のほとんどは、製品の性能を高めるものである・・・これを持続的技術と呼ぶ

破壊的技術は・・・製品の性能を引き下げる効果を持つイノベーションである

技術革新のペースが・・・市場の需要のペースを上回るため、企業が・・・努力すると、市場を追い抜いてしまうことがある

安定した企業が、破壊的技術・・・への投資に魅力を感じないのは
・・・破壊的製品のほうがシンプルで低価格、利益率も低い
・・・破壊的技術が・・・商品化されるのは・・・新しい市場や小規模な市場
・・・大手企業にとって最も収益性の高い顧客は・・・破壊的技術を利用した製品を求めず・・・当社は使えない

収益性と成長率を高める・・・ことを慣行としている企業は、破壊的技術に投資するころには、すでに手遅れである場合がほとんどだ

原則1:
企業は顧客と投資家に資源を依存している
・・・「資源依存の理論」・・・実質的に資金の配分を決めるのは、顧客と投資家である・・・経営者ではなく

原則2:
小規模な市場では大企業の成長ニーズを解決できない

原則3:
存在しない市場は分析できない
・・・確実な市場調査と綿密な計画の後で計画通りに実行すすことが、すぐれた経営者の王道である
・・・情報が入手でき、計画を立案できる持続的技術では、リーダーシップをとることは競争上、重要ではないことが多い・・・追随者も先駆者も実績は変わらない
・・・先駆者が圧倒的に優位なのは、市場のことがほとんどわからない破壊的イノベーションの場合である・・・これがイノベーションのジレンマである
・・・投資のプロセスで、市場規模や収益性を数量化してからでなければ市場に参入できない企業は、破壊的技術に直面したときに、身動きがとれなくなるか、取り返しのつかない間違いをおかす。データがないのに市場データを必要とし、収益もコストもわからないのに、財務予測に基づいて判断をくだす。持続的技術に対応するために開発された計画とマーケティングの手法を、まったく異なる破壊的技術に適用することは、翼をつけた腕で羽ばたくようなものだ
・・・「発見志向の計画」・・・破壊的技術を追求するための適切な市場と正しい戦略は事前にはわからないという法則を踏まえたうえで、戦略と計画に対する・・・アプローチ

原則4:
組織の能力は無能力の決定的要因になる
・・・組織の能力は、その中で働く人材の能力とは無関係だ
・・・組織の能力を・・・決める要素の・・・一つはプロセス・・・組織の人員が習得した労働力、エネルギー、原材料、情報、資金、技術といった「インプット」を・・・価値の向上という「アウトプット」に変える方法
・・・もう一つは組織の価値基準である・・・優先事項を決定するときによりどころとする基準・・・人間はきわめて柔軟性が高く、訓練しだいでさまざまな物事をうまくやれる・・・しかしプロセスや価値基準に柔軟性はない

原則5:
技術の供給は市場の需要と等しいとは限らない
・・・現在は主流市場の顧客の期待にとうてい及ばない製品が、明日には性能競争力を持つ可能性がある・・・競争の基盤・・・顧客が製品を比較して選択する際の基準が変化する・・・競合する複数の製品の性能が市場の需要を超えると、顧客は、性能の差によって製品を選択しなくなる・・・製品選択の基準は、性能から信頼性へ、さらに利便性から価格へと進化することが多い
・・・製品の性能が市場の需要を追い抜く現象が、製品のライフサイクルの段階を移行させる最大のメカニズムである
・・・企業は、競争力の高い製品を開発し優位に立とうとするために、急速に上位市場へと移行する・・・高性能、高利益率の市場をめざして競争するうちに、当初の顧客の需要を満たしすぎたことに気づかない・・・そのため、低価格の分野に空白が生じ、破壊的技術を採用した競争相手が入り込む余地ができる・・・主流顧客がどのように製品を使うのかといった動向を注意深く見きわめる企業だけが、市場で競争の基盤が変化するポイントをとらえることができる

成功する事業と失敗する事業の最大の違いは、一般に、当初の計画の正確さではない・・・新しい事業計画を立てて二度、三度と試行錯誤できるように十分な資源を残しておくこと(または信頼できるパートナーや投資化との関係を保つこと)

組織の能力の枠組み
組織にできることとできないことは、資源、プロセス、価値基準の三つの要因によって決まる
□資源: 人材、設備、技術、商品デザイン、ブランド力、情報、資金、供給業者、流通業者、顧客との関係
□プロセス: インプットからアウトプットを生み出す相互作用、協調、コミュニケーション、意思決定のパターン・・・製造プロセス、商品開発、調達、市場調査、予算作成、事業計画、人材開発、給与決定、資源配分・・・経営者にとってのジレンマは、プロセスがその性質上、従業員が反復作業を一定の方法で行うために確立されるということだ。一貫性を保つため、プロセスは・・・変化しない。変更が必要なときは厳しく管理された手順にしたがって変更する。つまり、組織が価値を生み出すメカニズムそのものが、本質的に、変化をこばむのである
□価値基準: 仕事の優先順位を決めるときの基準・・・明確で一貫性があり広く理解されている価値基準は、企業になにができないかを定義するもの・・・企業の価値基準はコスト構造や、事業モデルを反映したものでなければならない。価値機運は、企業が収益を上げるために従業員が従わなければならないルールを定義するからだ

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5 HDDを題材にしているが、ウォークマン・携帯電話・デジカメなど何にでも当てはまる。
5 カルチャー学派の本なのかも。
5 こういう考え方もあるんだなぁ、と考えさせらる本
3 破壊的イノベーションとは?